法人が、まだ十分に使用できる建物を新しく建替えるために要した旧建物の取壊し費用は、経費とはせずに、新建物の取得価額に含めるべきでしょうか?
答えは、取り壊した事業年度に経費として計上できます。
まだ使用に耐え得る建物であっても、その旧建物の帳簿価額とともに、その取り壊した日の属する事業年度の経費に算入することができますので、新建物の取得価額に含める必要はありません。
建物の取壊し費用を、取得価額に含めなければならないケースは、次の場合です。
法人が新社屋建設のために建物付きの土地を購入し、おおむね1年以内にその建物の取壊しに着手するなど、初めからその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合には、その建物の取壊しのときの帳簿価額と取壊し費用の合計額は、その土地の取得価額に算入することとされています。
しかし、初めは建物を使用する目的で取得したが、その後やむを得ない理由が生じたことにより、その取得後おおむね1年以内にその建物を取り壊した場合には、その建物の帳簿価額と取壊し費用の合計額は、土地の取得価額に含めず、取り壊したときの経費に算入することができます。
また、居抜き物件などのように、建物、附属設備等を取壊し、廃棄していない場合であっても、次に掲げるような固定資産については、資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として計上することができます。
これを「有姿除却」といいます。
① その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
② 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
ソフトウエアのように物理的な除却、廃棄等がない場合でも、今後事業の用に供しないことが明らかな事実があるときは、そのソフトウエアの帳簿価額(処分見込価額を控除した残額)を、その事業年度の経費に算入することができます。
① 自社利用のソフトウエアについて、そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合、又は、ハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することになり、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合
② 複写して販売するための原本となるソフトウエアについて、新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、販売を行わないことが稟議書、販売流通業者への通知文書等で明らかな場合

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