法人が所有する自動車を売却した際に、利益が出た場合には固定資産売却益、損失が出た場合には固定資産売却損として、損益に反映させることになります。
しかし、個人事業者が事業用の自動車を売却した場合に出た売却益、売却損は事業所得に反映してはいけません。
この場合の所得は、総合課税の譲渡所得になります。
① 譲渡所得の計算
売却益、売却損が出た場合、事業所得などと損益通算することができます。
譲渡所得は、次の算式で求められますが、所有期間によっても譲渡所得の金額が変わります。
譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)-特別控除額50万円 =譲渡所得
所有期間が5年以内の短期譲渡の場合は上記算式の譲渡所得が課税対象となりますが、5年を超える長期譲渡の場合、譲渡所得の2分の1が総合課税の対象になります。
特別控除額50万円は、短期譲渡、長期譲渡の合計額に対して50万円です。
譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。
通常は、自動車の売却で利益が出ることはあまりありませんし、50万円の特別控除がありますので、課税となるケースは稀だと思います。
② 自動車の用途
事業用自動車を売却した場合、上記①の取扱いになりますが、自家用車を売却した場合はどうなるでしょうか?
通勤や買い物など「生活に通常必要である」と判断される場合には、所得税は非課税となります。
ただし、レジャー専用車の場合、「生活に通常必要でない」と判断されますので、事業用と同様に譲渡所得の対象となります。
この場合、譲渡益は事業所得等との損益通算をしますが、譲渡損は事業所得等との損益通算はできず、他の一定の譲渡所得との損益通算のみとなります。
事業共用の自家用車の場合、譲渡益、譲渡損ともに、事業割合で按分するのが妥当と思います。
個人事業者が消費税課税事業者の場合には、事業用自動車の売却額も課税売上に含めなければなりませんので、忘れずに処理しましょう。

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