サラリーマンの配偶者であるパートタイマー・アルバイトなどの短時間労働者にとって、気になるのは所得税扶養から外れる「103万円の壁」、社会保険扶養から外れる「130万円の壁」ではないでしょうか。
これらに加えて、社会保険加入の適用要件において、新たに「106万円の壁」が生まれます。
平成28年10月から、一定の要件に該当した場合、社会保険被扶養者の認定基準が年収106万円未満に引き下げられます。
現行は、労働時間が週30時間以上の方が適用対象となっていますが、次に掲げるすべてに該当する短時間労働者は、サラリーマンの配偶者の扶養から外れ、会社の社会保険に加入することになります。
(1)所定労働時間が週20時間以上
所定労働時間で判断されますので、就業規則・雇用契約書などで確認できます。
所定労働時間が週単位でない場合は、週に換算して計算します。
・1か月単位の所定労働時間× 12/52
・1年単位の所定労働時間× 1/52
(2)月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上) 
就業規則や雇用契約書に記載されている、時給・所定労働時間・所定労働日数で1か月の賃金が計算されます。
あくまで、契約書上の金額で算定されますので、106万円を超えそうだからなどの理由で、労働時間を調整できるということはありません。
賞与、残業代、通勤手当、家族手当などは除かれます。
(3)勤務期間が1年以上の見込
原則、雇用保険における取扱いと同様とすることとされています。
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が1年以上である場合
・雇用期間が1年未満であるときは、次のいずれにも該当する場合を除き、被保険者となる
①雇用契約書その他書面においてその契約が更新される旨又は更新される場合がある旨明示されていないこと
②当該事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されている者について更新等により1年以上雇用された実績がないこと
(4)学生は適用除外
大学、高等学校、専修大学のほか、各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)などに在学する生徒または学生は適用対象外となります。
(5)従業員501人以上の企業
規模501人以上の企業(特定適用事業所)とは、事業主が同一である一または二以上の適用事業所で、通常の労働者及びこれに準ずる者の総数が常時500人を超える企業を指します。
派遣会社の場合、派遣元の派遣会社で判断されますので、派遣先の社員が500人以下であっても、派遣元の企業が該当していれば、適用されることになります。
該当する短時間労働者は、25万人に上ると試算されています。
年収106万~130万円の人にとっては、実質、手取りが下がってしまいますが、厚生年金保険は会社との折半で納付しますので、将来の年金受取額は増えることになります。
働き方は人それぞれですので、目先の利益だけにとらわれず判断できるよう、確認してみてください。

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