(1) 軽減税率制度の区分経理
平成29年4月からの軽減税率制度の導入により、事業者は日々の業務において、税率の異なる売上や仕入・経費を区分経理した上で、申告・納税を行う必要があります。
軽減税率の対象品目を取り扱っている事業者はもちろんのこと、軽減税率の対象品目を取り扱っていない事業者や、課税事業者と取引を行う免税事業者も、事務を行ううえで影響を受けます。
① 課税事業者が必要となる事務
軽減税率の対象となる飲食料品を取扱う小売・卸売業(スーパーマーケット、青果店等)、飲食業(レストラン等)だけでなく、会議費や交際費として飲食料品を購入する事業者についても区分経理を行うことが求められます。
申告の際に適切に消費税額を計算するため、軽減税率が適用される売上・仕入・経費と、標準税率が適用される売上・仕入・経費を、それぞれ集計し、区分して記帳する必要があります。
② 免税事業者が必要となる事務
軽減税率の対象品目の売上がある事業者は、課税事業者と取引を行う場合に、相手方から区分記載請求書等の交付を求められる場合があります。
いずれに該当する事業者も、日々の業務において、顧客(消費者)から適用税率を聞かれる場合、顧客(事業者)から請求書(領収書)の発行を求められる場合などがあるため、適切に商品管理を行い、個々の商品の適用税率を把握しておく必要があります。
その際、複数税率に対応したレジの導入等やシステムの改修等が必要になるかもしれません。
(2) 対象品目となる「飲食料品」
軽減税率の対象となる「飲食料品」とは、食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)をいいます。
人の飲用または食用に供されるものとして販売するものであるかどうかにより判断することが原則となります。
例えば、工業用として販売される塩など、飲用又は食用以外の用途で販売されるものは該当しません。
なお、食品表示法に規定する「食品」とは、すべての飲食物をいい、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定する「医薬品」「医薬部外品」「再生医療等製品」を除き、食品衛生法に規定する「添加物」を含むものとされています。
ただし、次の課税資産の譲渡等は、飲食料品の譲渡に含まれません。
① 外食
テーブル、いす、カウンター等の飲食に用いられる設備のある場所で行う、飲食料品を飲食させるサービス
② ケータリング・出張料理等
顧客が指定した場所において行う、加熱、調理または給仕等の役務を伴う飲食料品の提供
有料老人ホーム等の一定の生活を営む施設において行う一定の飲食料品の提供や学校給食等は、「ケータリング・出張料理等」から除外され、軽減税率(8%)の適用対象となります。

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