(1)取締役の任期
取締役の任期は原則2年ですが、株式譲渡制限会社では、定款の取締役の任期規定を変更することによって、最長10年まで伸長することができます。
「最長10年」ですので、例えば5年でも8年でもかまいません。
取締役は任期満了とともに改選が必要となりますが、改選の結果顔ぶれが変わらなかったとしても、法務局に登記手続きをしなければなりません。
同族会社等の閉鎖的な会社では役員の変更は稀ですので、任期を伸長することは、会社の実情に合わせた対応といえますし、登記費用の節約にもなります。
(2)監査役の任期
監査役を設置している場合、任期は原則4年ですが、株式譲渡制限会社では、定款の監査役の任期規定を変更することによって、最長10年まで伸長することができます。
監査役も、取締役と同様、任期満了とともに改選し、登記手続きが必要となります。
取締役の任期伸長をお考えの場合は、監査役もあわせて検討するとよいでしょう。
(3)定款変更
株主総会を開催し、特別決議による定款変更決議が必要になります。
任期伸長決議が可決されれば、その効力は直ちに発生します。
変更内容を証明するため、議事録を作成し、原始定款とともに必ず保管しておきましょう。
なお、役員の任期については登記事項ではありません。
また、この定款変更によって、再度公証人の認証を受ける必要もありません。
(4)注意点
①取締役と監査役の任期がずれている場合、登記回数が多くなるだけでなく、登記手続きが煩雑になります。
例えば、任期を取締役10年、監査役4年としますと、監査役のみの登記が4年ごと、取締役のみの登記が10年ごと、取締役・監査役両方の登記が20年ごとということになってしまいます。
任期は、同じ年数で揃えた方がよいでしょう。
②任期の途中で取締役を解任した場合、正当な理由がない限り、任期満了までの残期間に見合う役員報酬を、損害賠償請求される恐れがあります。
③任期を伸長すると、改選時期が当分先になってしまうため、任期を忘れて役員改選決議をしなかったり、役員登記を怠ってしまうことが大いに考えられます。
役員登記手続を怠った場合、最悪のケースで100万円以下の過料(罰金)に処される可能性がありますので、ご注意ください。

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