東京都では、平成25年4月1日から「帰宅困難者対策条例」が施行されました。
この条例の中で、東京都は企業・事業者に対し、「災害時の従業員の一斉帰宅の抑制」や「従業員との連絡手段を確保するなどの事前準備」、「従業員の3日分の食料や水、毛布等の備蓄」などを求めています。
そこで今回は、非常用品を購入した場合の税務上の取扱いをみていきます。
1.非常用食料品の取扱い
飲料水等の消耗品を未使用の状態で保管した場合、当期末の未使用分は原則として貯蔵品として資産計上し、実際に事業の用に供した(使用した)時点で損金の額に算入します。
しかし、長期間保存できる非常用食料品については、備蓄時に事業の用に供したものとして、備蓄した時点で損金の額に算入することになります。
その理由として、国税庁のホームページでは次のように掲げています。
(1)食料品は、繰り返し使用するものではなく、消耗品としての特性をもつこと
(2)その効果が長期間に及ぶものであるとしても、食料品は減価償却資産又は繰延資産に含まれないこと
(3)仮に、その食品が「消耗品で貯蔵中」のものであるとしても、災害時用の非常食は、備蓄することをもって事業の用に供したと認められること
(4)類似物品として、消化器の中味(粉末又は消火液)は取替え時の損金として取り扱っていること
※賞味期限が近くなり新しい非常用食料品を購入すると、古いものは社員に無償で配るケースがあります。
社員全員に配っていれば問題はないのですが、役員など一部の者を対象に配った場合には、現物給与として所得税が課税される可能性がありますのでご注意下さい。
2.毛布等の非常用具の取扱い
災害時に備えて備蓄する毛布やヘルメット等の非常用具については、1個又は1組の取得価額が10万円未満の場合がほとんどですので、少額減価償却資産として事業の用に供した時点で損金の額に算入することができます。
事業のように供した時点とは、非常用食料品と同様、災害に備えて備蓄すること自体が事業の用に供していますので、備蓄した時点と言い換えることができます。
また、青色申告書を提出する中小企業等の場合は、取得価額が10万円以上であっても、30万円未満であれば少額減価償却資産の特例の適用を受け、事業の用に供した時点で全額損金の額に算入することも可能です。
ただし、非常用具だからといって、一般的に備蓄すべきと考えられる量に比べて大量に購入した場合には、損金として認められないことがありますのでご注意下さい。

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