未払い残業には今以上の注意が必要に

厚生労働省の有識者検討会は6月に、労働者が企業に残業代などの未払い賃金を請求できる期限について、労働基準法で定めいた「2年」を見直し、期限を延長する方向で議論をまとめました。

2020年施行の改正民法で、債権消滅時効が原則5年となったことを踏まえたものです。

具体的な延長期間は、今秋にも労働政策審議会で議論されます。

もし未払い残業代が発生していたら法改正後はどのぐらいの金額になるのでしょうか。

積みあがるとこれだけの金額に……

例えば月給25万円の社員の方で残業が1日1.5時間、月22日の勤務とします。

250,000円÷173.8時間(1か月の基本労働時間)=時給1,438円

1,438円×1.25(残業割増)=残業時給1,798円

1,798円×1.5時間=2,697円(1日に発生する残業代)

2,697円×22日=59,334円(1か月に発生する残業代)

59,334円×24月(時効の2年間)=1,424,016円

2年間で積みあがる金額は143万円ほどになります。

ここまでは2年間の残業代の金額となりますが、ペナルティの遅延損害金や付加金が課せられる場合があり、加味すると1日1.5時間の残業の人でも2年間で約300万円近い金額が積みあがります。

時効が5年になったら300万円の2.5倍、約750万円まで金額が膨れ上がることも考えられます。

残業代の計算に必要なこと

タイムカード、就業規則、雇用契約書、給与明細、シフト表、業務日報、パソコンのログイン記録、メールの送受信履歴などが残業の計算の際には必要になります。

世間相場からみて十分な金額を払っていても、明確に賃金を区分しておかないと残業代が支払われていないとされるときがあります。また上記のような証拠がなければ反論することが難しくなります。

そういうことがないようにするためにも働いている方と契約をあいまいにしないで明確に就業規則や雇用契約書で決めて労働時間の把握をしておく必要があります。

2020年を迎える前にしっかり対策をして、労使が契約内容をはっきりさせることが必要でしょう。

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