個人事業者版の事業承継税制創設

平成30年度税制改正では、非上場会社の事業承継税制の大胆な見直しが行われましたが、これに続き31年度改正では、個人事業者の事業承継税制が創設されました。

総務省の調査では、平成37年には個人事業者の73%(150万人)が70歳以上となると報告され、世代交代を後押しする施策が求められています。そのため、10年間の時限措置として、承継資産(土地・建物・機械等)に係る贈与税・相続税の100%が納税猶予される制度が整備されます。

なお、この制度は小規模宅地等(特定事業用宅地等)との選択適用になります。

個人事業者の事業用資産の納税猶予(相続税)

対象者 認定相続人(承継計画の認可)

適用期間 H31.1.1~H40.12.31

要件

①相続又は遺贈により特定事業用資産を取得し、事業を継続していくこと

②申告期限までに担保提供・申請書提出

対象資産 特定事業用資産(不動産貸付事業除く)

①土地(地積400㎡まで)、②建物(床面積800㎡まで)、③一定の償却資産

※青色申告書に添付する貸借対照表に計上されているもの

承継後 継続届出書を税務署に提出

特定事業用宅地等(小規模宅地)の見直し

小規模宅地等の減額制度の濫用を防止する観点から、特定事業用宅地等から相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等が除かれることとなります。

ただし、その宅地の上で事業供用される償却資産の価額が土地の価額の15%以上であれば、適用対象とされます(H31.4月以後の相続より適用)。

民法の成人年齢引下げに伴う改正

平成34年4月以後の相続・贈与より、次の年齢が20歳から18歳に引き下げられます。

相続税 未成年者控除の対象者の年齢

贈与税 下記の受贈者の年齢要件

①相続時精算課税制度、

②直系尊属から贈与を受けた場合の特例税率、

③非上場株式等に係る贈与税の納税猶予

一括贈与非課税に受贈者の所得要件が追加

「教育資金」、「結婚・子育て資金」の一括贈与非課税については、受贈者の所得要件が設けられることとなりました。

平成31年4月以後の贈与からは、受贈者の贈与前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用できません。

また、23歳以上の趣味の習い事代は「教育資金」の範囲外とされました(H31.7月以後の贈与より)。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。