輸出のための購入でも免税にならない事例

海外への物品の輸出については、消費税が課税されない輸出免税となっています。

しかしながら、物品の引き渡しが国内で行われたものであれば、国内取引として消費税が付加されます。

販売した者は消費税を購入者に請求し、課税売上として消費税の申告に織り込まなければなりません。

貿易条件で危険移転の分岐点が変わります

貿易の取引条件の解釈を国際統一するための規則がインターコムズと呼ばれるものです。

11の規則がありますが、FOBやCIF等の用語を耳にしたことがあると思います。

FOB(本船渡し)とは、Free On Boardの略で、売主の義務が本船上で免除されます。

通関を済ませて貨物が船に乗った段階で所有権が移転されます。

輸出者(=売主)の運賃や保険などもここまでで、以降は輸入者(=購入者)に負担が移ります

リスク移転が国内であれば課税取引です

工場で引き渡しをする取引条件がEXW(Ex Works)です。売主の敷地内で引き渡せば、運賃や保険なども不要なので、売主側は安く売ることができます。

一方、購入者側は本体価格だけでよいので購入価格は一番安くなります。引き取り後の運賃や保険を安く抑えれば、総費用が安く済む目論みです。

しかしながら、最終的に輸出されるものであっても、取引の場所が国内であれば消費税の課税対象となります。

輸出免税の対象とするためには、輸出者名義の輸出許可証が必要になり、取引条件は、引き渡し場所が国外となる本船上であるCIFもしくはFOBとすることが必要です。

国内引き渡しで発生する消費税のトラブル

物品の受け渡しが国内扱いとなる取引条件で売買があった場合、販売者及び購入者とも消費税申告や税負担を巡るトラブルが発生しかねません。

販売者側が、輸出免税と思って、課税売上に入れないと、税務調査等で否認され、税金の追加負担となります。

購入者側は、国内取引となったことで思わぬ消費税負担が発生します。

事前の消費税課税事業者選択で申告還付することができない場合、負担した消費税の取り戻しはできません。

目先の購入額の安さに目がくらみ、大損ということもあり得ます。

取引全体の費用見積もりの際にご注意ください。

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