労働時間の新たなガイドライン

平成29年1月に厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が発表されています。

以前からあった基準は廃止され新たなガイドラインが示されました。

それには労働時間とされる場合が3つありますが、その中の社員研修に関する労働時間についてみてみます。

「研修に参加する事が業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習を行っていた場合」は労働時間に該当するとしています。

しかし、使用者から何らかの指示があれば自主研修はすべて労働時間だと判断するのではなく個別に考える必要があります。

裁判例等から検討される観点

裁判例では労働時間とみなされるのは次の3つの観点があります。

①時間や場所での制限によって行動に相当の制約がされているか

⇒所定の労働のように指揮命令下での労働における行動の拘束下と言えるか

②使用者からの義務付けの態様、程度(明示、黙示の命令か、黙認か)

⇒指揮命令のレベルの強弱

③要した時間が社会通念上必要であるか

社内研修について

従業員が会社で実施する研修に参加した場合、労働時間に該当するかどうかはよく問題になります。

社内研修が一定の場で所定の時間に開催されていれば前記①の要件を満たします。

また、②の使用者の義務付けでは通達において「就業規則上の参加しない事による制裁等不利益扱い無く自由参加」であるかどうかが争われます。

研修の参加、受講は業務上の義務であるか否かであり、不参加によるペナルティ等事実上の不利益によって強制される場合も業務に含まれるとしています。

自主研修の場合は

スキルアップのためのWEB学習などは社内等場所の制約、業務上の必要性が高く業務命令的要素が強いこと、学習状況を会社が把握している等であれば業務上となる要素は強く、逆に労働時間外に行わせるならば原則事業場内では学習を行わせない、学習自体を義務付けしない、あくまでも一定のスキルアップ程度に留める、本人の自主性に任せ会社は管理、監視はしない等が必要です。

  

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