国外扶養家族の条件はハードルが高い

平成 27 年度の税制改正で、平成 28年 1 月より非居住者である扶養親族(「国外居住親族」)を有する者は、給与等の源泉徴収及び年末調整において、「国外居住親族」に係る「親族関係書類」や「送金関係書類」を源泉徴収義務者に提出し、または提示しなければならないこととされています。

しかしながら、国外扶養の基準を満たすのは困難です。

一番の難題は、「国外居住親族の生活費または教育費に充てるための支払いを必要のつど、各人に行ったことを明らかにするもの」という点です。

単身赴任の場合、未成年の子供も含め、対象者全員に送金した証明書を提示しなければなりません。

規定の趣旨vs所得税法の規定

扶養控除の趣旨から考えると、単身赴任の場合、配偶者宛に送金していればそこから当然子供たちの生活費も賄うので、それで大丈夫だと思いがちです。

しかしながら、所得税法施行規則第47条の2第5項に「生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするもの(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含む。)とする。」と明記されています。

よって、趣旨がこうだからという言い訳は通用しません。

会社側が責任を負わされないために

これらの書類の確認は、給与支払者が行わなければなりません。

基準を満たさないにもかかわらず扶養控除とし、後日税務調査等で源泉税徴収漏れを指摘されれば、罰金等は会社の負担となってしまいます。

あらかじめ会社側で下記の予防策が必要です。

①送金明細書のない子供には適用しない。

②書類の日本語訳は本人に準備させる。

③各人への送金明細と親族関係書類が必要だということを、毎年年初(入社時)に書類を渡して告知しておく。

※渡すべき書類は、国税庁作成の「非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ(給与所得者用リーフレット)

(平成27年10月)」と同英語版がお薦めです。

英語版は、国税庁HPトップ→パンフレット・手引き→源泉所得税関係→源泉徴収全般にあります。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。