作家には黙って使って事後報告

元名古屋大学助教授で小説家の森博嗣さんが著された「作家の収支」(幻冬舎新書)には、皆の興味をくすぐるものが多く記されています。

その中に作品が「入試問題に使われた場合」の話があります。

これによると、最近、森さんが新書で公表した作品は、大学・高校・中学の入試問題でよく使われるようになったそうです。

入試で使われる場合、事前に作家の承諾を得る必要はないそうです。

そのため、学校側は黙って入試で出題して、事後報告の形で作家に伝えるそうです。

この時点では著作権料はかかりませんが、最近は入試問題を公表する学校が増えたため、公表時には引用した作家から承諾を得て著作権使用料を支払う義務が生ずるそうです。

入試問題は「過去問題集」で書籍になる

また、入試問題はその後「赤本」など過去問題集で書籍になります。

この問題集の印税は、引用された頁数で按分して支払われるようです。

このような問題集はその後毎年印刷され、有名校ならば相当な部数になるようで、ページ数は少なくても1件で毎年数万円は入ってくるそうです。

予備校の「模擬試験」などでも使われる

この他にも予備校の模擬試験や問題集で使われることもあります(森さんの場合、年間で100件だそうです)。

これも著作権使用料が生じますが、森さんは「著作権というものがこの世にあることを、なるべく多くの人に認識してもらえる良い機会」として、日本文藝家協会が規定している料金を頂戴しているそうです(1件1,000円~2,000円)。

試験の出題料や採点料は

このような書籍の印税(複製して販売)には源泉所得税が徴収されます。

ちなみに、試験問題の出題料や答案の採点料などは「原稿料」に類似するものではありますが、広く頒布されないことや著作物的な創作性が乏しいことから、源泉徴収は要しないものとされています。

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