お礼奉公には前近代的な暗いイメージが付きまといますが、反面、合理的な側面も持っています。

事業者が修学者等に学資金を貸与(貸付け)しますが、修学終了は卒業後、貸与した事業者において一定期間勤務すれば、貸与したお金は返還しなくてもよく、その貸与金は免除するというものです。

平成28年度の税制改正で、このお礼奉公を伴う貸与金の債務免除の課税関係について、改正がありました。

平成28年3月31日までの取扱い

お礼奉公を伴う貸与金の債務免除については、原則、勤務者に対する給与として課税するとしていました。

学資に充てるための給付金であっても、その学資が「給与その他対価の性質を有するもの」は非課税とはしませんでした。

このお礼奉公は、貸与金を日々の勤労によって毎年返還していくということですから、まさに、「貸与金の免除」と「奉公」(勤労)はひも付きの関係にあり、「給与その他対価の性質を有するもの」そのもの、ということになります。

この関係を仕訳で表してみますと、

「貸与時」貸付金○○/現金○○、

「奉公時」給与○○/貸付金○○、

となるかと思います。

ちなみに、貸与金及びその免除がお礼奉公とひも付きの関係でなければ、もちろん学資金は非課税、一方、貸与者が民間営利企業であれば、当該貸与金は寄付金課税の対象になるものと考えられます。

平成28年4月1日以後の取扱い

改正後は、上記のようにひも付き関係が明確な学資金であっても、一定の者に対するものの債務免除は非課税としました。

具体的には、債務免除が「給与その他対価の性質を有するもの」であっても、給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあっては、通常の給与に加算して受けるものであり、当該法人の役員やその親族など一定の者以外の使用人であれば、非課税となります。

この改正の適用範囲ですが、すべての事業者に適用されるのかという疑義もありますが、現在、法令及び解釈通達等で特に制限している規定は見当たりません。

この改正は、人材採用に新たなチャンスをもたらすかもしれません。

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