債務超過子法人の清算での想定外
グループ法人税制では、完全支配関係にある親子会社間で、子会社が解散した場合に親会社が「子会社の未処理欠損金額を引き継ぐ」ことになり、その代わり子会社株式消滅損は認識しません。
ところで、解散子会社の残余財産確定までに、親会社において子会社株式の評価損を子会社の資産状態の著しい悪化を理由に計上してしまえば、子会社株式消滅損は生じなくなり,それでも未処理欠損金額の引継ぎはできました。
損失の二重計上だとして法改正
導入1年目の昨年度では、上記のような評価損計上の可能性について、立法当局において事前に気付かれていなかったようで、本年度の税制改正では、このような評価損は損金算入できないものとすることとされました。
具体的には、
①清算中の内国法人
②解散をすることが見込まれる内国法人(除く合併解散)
③内国法人でその内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人との間で適格合併を行うことが見込まれるもの
この3つの子会社株式の評価損が損金算入できないこととなりました。
この改正は,改正法の施行日である6月30日以後に行われる評価換え等から適用されています。
子会社株式の売却損でも同じ
グループ関係の会社が複数あるとき、債務超過欠損子会社株式をグループ内の他の法人に売却するとした場合には、譲渡法人に売却損が計上され、譲り受け法人に未処理欠損金が引継がれることになります。
ただし、グループ法人内での譲渡で帳簿価額1000万円以上のものについては、譲渡損益はそのままでは計上できないので、会社の解散・清算による消滅の時まで、損金算入時期が遅れることになります。
すぐ評価損をするのではなく、タイミングの遅れた譲渡損でもよいとするならば、別々の会社にではありますが、株式の損失計上と未処理欠損金の引継ぎとの両方の計上は相変わらず可能です。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。