経過勘定には、次の4つがあります。
前払費用(資産勘定)・未収収益(資産勘定)
未払費用(負債勘定)・前受収益(負債勘定)
いずれも、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行っている場合で、時間の経過に伴い費用や収益となる場合に使用する勘定科目です。例としては、利息・家賃・保険料等が代表的です。
前払費用とは
未だ提供されていない役務に対して支払われた対価を言います。
未収収益とは
既に提供された役務に対して、未だその対価の支払を受けていないものを言います。
未払費用とは
既に提供された役務に対して、未だその対価の支払をしていないものを言います。
前受収益とは
未だ提供していない役務に対して支払われた対価を言います。
何処が違うの・・・
似たような勘定科目に前払金・未収金・未払金・前受金がありますが、これらの勘定科目は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行っている場合以外に使用します。
ですから資産の譲渡(物の売買)の場合等はこれらの勘定科目を使い、経過勘定は使いません。
具体的には、微妙です。
会社法の改正を受けて日本公認会計士協会や、日本税理士連合会が経理処理をまとめた「中小企業の会計に対する指針」では未払費用の事例に未払給与が載っていますが、前払費用の事例には載っていません。
顧問契約に基づく顧問料や、雇用契約に基づく給与等も継続した役務の提供に該当しますが、「時間の経過に伴い」の解釈によって、経過勘定として取り扱うか否かの議論が分かれるところとなっております。
中小企業の会計に対する指針
平成20年5月1日最終改訂版
30.経過勘定の定義
前払費用
 前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対して支払われた対価をいい、前払利息、前払保険料、前払家賃、前払保証料等が該当する。
 前払費用は、このような役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。
前受収益
 前受収益は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、いまだ提供していない役務に対して支払を受けた対価をいい、前受利息、前受家賃等が該当する。 前受収益は、このような役務提供契約以外の契約等による前受金とは区別しなければならない。
未払費用
 未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないものをいい、未払利息、未払家賃、未払給料、未払社会保険料等が該当する。
 未払費用は、このような役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。
未収収益
 未収収益とは、一定の契約に従い、継続して役務の提供を行う場合、既に提供した役務に対しいまだその対価の支払を受けていないものをいい、未収利息、未収家賃等が該当する。
 未収収益は、このような役務提供契約以外の契約等による未収金とは区別しなければならない。
上記の出典は企業会計原則による紙面の都合上前払費用のみの掲載とする
企業会計原則注解5
(1) 前払費用
 前払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。従って、このような役務に対する対価は、時間の経過とともに次期以降の費用となるものであるから、これを当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上しなければならない。また、前払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による前払金とは区別しなければならない。
議論が分かれる原因は、法人税の短期前払費用の損金算入に関わる為、国税当局は顧問料や給与等人的役務の提供を伴うものについては、時間の経過とともに次期以降の費用・収益となるものでは無いので、経過勘定としては認識していない。しかし、今回の会計指針では未払給与を未払費用としている点の曖昧さです。そうなると前払給与も前払費用になるのではないかと言う議論が成り立ちます。
法人税法基本通達(短期の前払費用)
2-2-14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加、昭61年直法2-12「二」により改正)
(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。

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