海外に1年以上の勤務で赴任する場合やその後帰国した場合、住民税は所得税と違ってその課税上の取扱が異なります。
住民税の納税義務は、原則、1月1日に国内に住所を有するかどうかで決まります。
そこで、住民税について、赴任した年、赴任した翌年以降、帰国した年以降、その納税義務について概観してみます。
赴任した年
海外に1年以上勤務等で赴任又は滞在する場合は、原則、住民基本台帳法に基づき現在住んでいる市町村に「国外転出届(住民異動届)」を提出することになっています。
例えば、平成25年4月1日海外赴任となった場合には、赴任(出国)の翌日から非居住者となります。
この場合、前年度分住民税(住民税は、原則、前年の所得が課税標準となりますので、ここでは平成23年の所得に対応)の未納特別徴収月割額4月分、5月分は、原則、3月分給与等から一括徴収します。
当年度分の住民税(平成24年の所得に対応)は、1月1日(賦課期日)現在の住所地である市区町村に納付しなければなりません。
出国の日まで特別徴収税額が判明していればよいのですが、一般的には未確定の場合が多いようですので、納税管理人を選任して納付の手続きをする必要があります。
納税管理人は、勤務先の会社でもなることができます。
赴任した翌年以降
赴任した翌年以降は、その年(平成26年)の1月1日(賦課期日)現在、国内に住所がありませんので、住民税(平成25年分の所得に対応)の納税義務はありません。
しかし、国内に家屋敷等を所有する者は、その家屋敷等が所在する都道府県及び市区町村において均等割(都道府県1千円、市区町村3千円)が課税されます。
帰国した年とその翌年以降
赴任先の海外から帰国した場合、例えば2年の勤務を終えて、平成27年3月に帰国した場合、平成27年1月1日現在、賦課期日に国内に住所がありませんので、帰国した年度分の住民税(平成26年の所得に対応)の納税義務はありません。そして、帰国の翌年以降は、住民税の納税義務を負うことになります。
なお、1年以上の勤務予定で海外赴任しものの、1月1日をまたいで病気等で1年未満で帰国した場合の住民税ですが、原則、1月1日現在で帰国が予想されないのであれば、住民税は課税されません。
 

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