人事異動は就業規則で規定するのが適当
会社で業務運営上の理由から就業場所や担当業務を変更することは会社の人事権として認められます。
しかし、従業員の意に沿わない時は争いが生ずる可能性もあります。
このような場合を考えると、あらかじめ就業規則に明記しておいたほうが良いと思われます。
「職種や勤務地を限定して採用した場合本人の同意なくして、職種変更、限定勤務地以外の転勤はできない」とした判例もありますので、職種限定社員でも移動の可能性がある場合はその旨を示しておく方が賢明です。
人事異動の種類
人事異動には一般的に次のようなものがあります。
①配置転換・・同一事業場内の担当業務異動
②転勤・・勤務地の変更を伴う所属部内異動
③職種変更・・職種の異動
④応援・・元の事業場に在籍のまま通常勤務する以外の事業場の勤務を応援する勤務
⑤出向・・在籍出向や他社への転籍
⑥海外派遣
前記のうち、配置転換については、入社の際の労働契約や就業規則に定める配転応諾義務を明示して、包括的に同意を得ておくことが必要です。
在籍出向・転籍の注意点
在籍出向や転籍は通常の配置転換の要件(業務命令等)の範囲で行うことはできず、配転とは別の条項に規定することが望ましいです。
判例でも、「グループ内出向では就業規則に規定されていればよい」とした例もありましたが、転籍については従業員の同意を得ることを必要とするとしています。
転籍は従業員との雇用契約を終了し、他の企業との間で新しく雇用関係を発生させることとなるからです。
出向や転籍においては、異動先との労働条件等についての協定を交わすのが通常ですが、従業員の同意を明らかにするためには、会社、異動先の会社、従業員の三者で協定する方法などが考えられます。
また会社は、従業員に人事異動があっても円滑に業務が遂行されるよう、速やかに業務引き継ぎを行う旨を規定しておくことが大事です。

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