登記申請時の株主情報添付が必須に
会社の設立登記や役員変更登記をはじめ、法務局に「登記申請」を行う際、添付書類などの具体的な手続き詳細を定めている「商業登記規則」。
この規則に関する、とても興味深い改正案が発表されました。
2016年1月29日に公示された「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集によると、「登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる十名の株主またはその有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が3分の2に達するまでの人数の株主の氏名または名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面の添付を求める」ことが検討されているとのことです。
つまり、株主総会の議決を要する登記事項について申請を行う際には、議決権の多い株主上位10名、または、議決割合3分の2以上の株主に関する氏名や住所、議決権数を記載した「株主情報」の添付を求めるというものであり、この改正案が通ると、早ければ今年10月から登記申請時にこの株主情報を添付することが必要になるのです。
株主名簿は管理していますか?
「株主名簿」が保管されている場合は、こうした株主情報をすぐに確認することができます。
株主名簿は会社法により作成が義務付けられている帳簿ですが、株式移動があまりない会社では、もしかすると設立時から名簿がない、あるいは、全く更新されていないということがあるかもしれません。
そんなときは、確定申告書の「別表二」を確認します。
また、会社の基本事項を定めた「定款」には設立時の株主(発起人)が記載されていますので、設立時から変更がなければこの記載も参考になります。
古い会社ほど要注意
現在では発起人1名でも株式会社を設立できますが、平成2年の商法改正以前は発起人が最低7名必要とされていました。
こうした会社では長い年月を経て、株式の譲渡や相続が繰り返されることで株主が分散化され、会社と全く面識のない方々が株主になっている可能性もあります。
株主の権利は会社の運営に大きな影響力を持ちます。
この機会に一度、「株主名簿」を整理してみてはいかがでしょうか。

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