近年は、中小企業でも海外に子会社や合弁会社(子会社等)を設立したり、その進出の勢いは止まる気配がありません。
海外子会社等の事業が立ち上がるまでは、国内の親会社からの資金供給は欠かせません。子会社等への増資という手段もありますが、当面は、子会社等への資金供給は貸付金が多いようです。当然ですが、貸付金には利息の支払が伴います。
貸付金利息の課税区分
利息を収受する親会社は、この利息を受取利息として計上しますが、この場合、この受取利息が消費税法上、非課税資産の譲渡等に該当するものとして、また、海外の子会社等(非居住者)からの利息であることから、国外取引として課税対象外となるものとして、それぞれ課税売上割合の計算において当該利息を分母に算入し、あるいは、分母・分子から除外して計算することもあるのではないかと思います。
受取利息は輸出免税取引
国内からの資産の輸出は、当然に、輸出免税取引に該当し、国内における課税資産の譲渡等として消費税ゼロ税率が適用され、課税売上割合の計算において、当該輸出取引は分母・分子にも算入されます。
一方、海外子会社等の非居住者に対する貸付金のような役務の提供の対価たる受取利息に輸出免税取引が適用されるかどうかですが、結論は、輸出類似取引として輸出免税取引に該当するものとして取扱われ、課税資産の譲渡等として消費税ゼロ税率が適用され、当該利息は課税売上割合の計算において、分母・分子にも算入されることになっています。
理由ですが、国内の親会社から直接海外子会社等への貸付金は、当該行為の事務所等所在地が国内であることから、当該取引は国内取引に該当し、その対価たる利息は非課税資産の譲渡等に該当しますが、外国の消費者に我が国の消費税を負担させることのないよう(国境税調整)、特例として、非課税資産の譲渡等などに要する課税仕入れについても、仕入税額控除を認めるということで、輸出免税の適用を受けると同様な結果になるようにした、ということです。
なお、この特例によって仕入税額控除の計算上、輸出免税の対象とみなされる対価の額(受取利息)が、納税義務が免除されるかどうかの判定においては、基準期間における課税売上高には算入されません。

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