同じ更新料でも
賃借建物の更新の場合の支払更新料は、税法上の繰延資産として、5年もしくは賃借期間で償却するものとされています。
20万円未満であれば少額繰延資産として一時の費用とすることも出来ます。
同じ更新料でも、借地権に係る更新料は、全く損金算入できせん。
10万円未満であっても、資産計上し、借地権価額に単純加算しなければなりません。
借地権は税法では土地と同じものとして扱われ、非減価償却資産とされているからです。
既存簿価の償却計算
(借地権の更新前の帳簿価額×更新料÷更新時の借地権の時価)
この算式は、「借地権の権利が経年劣化したので、権利を保全するためには更新料を払ってそれを補完しなければならなくなった」との考えの上で、「補完としての更新料は、追加払いの借地権代金としてそのまま資産計上するが、経年劣化した既存の借地権簿価の一部分は、すでに権利を主張する裏付けを失ったものとして資産性を否認して損金算入する」というような理屈を表現したものと推測されます。
借地権時価に変動がなく、時価と簿価が同じだったら、更新料相当額が簿価劣化額として損金算入です。
更新料の何倍もの損金算入もアリ
バブル時の借地取得で、更新時では底値だったような場合、時価が1/2、1/3に下落していたら、「更新料×(更新前簿価÷更新時時価)」と算式を変形してみると明かなように、支払更新料の何倍もの損金算入額が計算されることになります。
こんなことは、賃借建物の更新料の場合ではあり得ないことで、不思議な印象が残ります。
法令上の強行規定
この算式による借地権の更新時取り扱いは、通達ではなく、法令にきちんと規定されているものです。
また、減価償却や繰延資産償却の規定と異なり、損金経理の要件はなく、「できる」規定でもなく「損金の額に算入する」との、任意性のない強行規定になっています。
従って、損金算入額は更新時に一時に全額であり、別表の上だけでの損金算入も可であり、損金処理漏れは法令違反なので、更正処分や更正の請求の対象でもあります。

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