外国人従業員の届出義務
外国籍従業員を雇用されている企業では、「所属機関等に関する届出」という手続きが必要になります。
これは、平成24年7月から始まった新しい在留制度により新設された制度で、雇用関係や婚姻関係などの社会的関係が在留資格(≒ビザ)の基礎となっている方が、その関係に何らかの変更が生じた場合、その旨を届け出なくてはならないという義務を外国籍の方本人に課すものです。
正確には、平成24年7月9日以降に上陸許可や在留資格の変更、在留期間の更新許可を受けた方に届出義務があるため、外国籍従業員全員にこの義務が課されているというわけではありませんでしたが、制度の施行から2年が経過し、現在ではほとんどの方が対象になっています。
会社の移転や名称変更のときにも
では、「社会的関係に何らかの変更が生じた場合」とは、実際どのような場合を指すのでしょうか。
たとえば就労目的の在留資格、いわゆる「就労ビザ」を取得している方の場合、その就労ビザは会社との「雇用関係」により付与されていますので、会社を離職したり、他社へ転職したりすると、社会的関係に変更が生じたとして届出を行うことになります。
つい忘れてしまいがちなのが、会社の名称や所在地に変更があった場合です。
法務省では、届出を行わなくてはならない変更事項として、「所属機関の消滅、所属機関との契約の終了・新たな契約の締結があったとき」の他、「日本にある契約機関の名称・ 所在地に変更が生じた場合」と定めています。
「会社を移転した」「社名変更をした」という企業様で、もし外国籍従業員を雇用していらっしゃいましたら、従業員の方が所属機関等に関する届出を行っているかどうか、一度確認してみてください。
届出を怠ってしまうと
残念ながら、まだまだ認知度の低い届出です。
しかし、最近では届出を怠った状態で在留期間の更新申請などを行うと、審査過程で、別途確認の連絡や資料提出の通知が来るケースも見受けられるようになりました。
届出を怠った場合は20万円以下の罰金に、虚偽の届出をした場合は1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられることもあります。
届出義務を課されているのは外国籍の方本人ではありますが、会社に変更が生じた場合には、合わせて従業員に対し届出の案内をしたいところです。

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