バブル期には職能資格制度が全盛で、年齢・勤続に応じて昇級しやすい実態があり、社員のモラルを維持・向上する効果を果たしていましたが、反面大いに業績を上げた者にとっては、業績を上げられなかった者も平等に昇級できることが「不公平」と感じられたり、実力のない「名ばかり管理職」が増えたりする等の問題が生じました。
管理職の人事賃金制度改訂動向
2000年代に入ると、このような問題を回避するため、多くの企業で人事賃金制度の改定が行われました。
その代表例を挙げますと、次の通りです。
①管理職層を「組織業績に責任を持つマネジメント職群」と「個人業績に責任を持つ専門職・専任職群」に縦に区分、複線化し、それぞれの役割・期待貢献・能力要件を明確化する。
②管理職の賃金体系を、役割給・成果給を中心に再編する。
③管理職へ昇格する関所として、業績を評価することと併せて、マネジメント能力を客観的に判定するマネジメント試験を実施する。
④管理職層を3階層に大ぐくりし、各階層をクリアするハードルを、業績・能力要件等で高くする。
⑤各階層内に号俸(例えば12号俸のサラリーポジション)を設け、年度の業績に応じて昇号数を増減する(毎年、給与の増減があるので、洗い替え制度と言う)
⑥このような人事賃金制度の改定と併せて、「家族手当・勤続手当」等の属人的給与を廃止し、それらの原資は業績給に移し替える。
⑦従来、退職時給与に勤続年数を乗じて算定されてきた退職金制度を、「成果・貢献ポイントと勤続ポイントの積み上げに応じたポイント制」へ移行する。
⑧管理職の人事賃金制度改定は、その厳しさを緩和しつつ一般職の制度改定に適用され、波及している。
経営者・管理者の留意点
このように人事賃金制度の高度化が進んできましたが、さらに会社の業績変動にかかわらず、定期昇給制度などで総額人件費が増え続ける人事賃金制度・目標管理制度になっていないかなど、業績と人件費の連動性をチェックし、真の成果・貢献給の実現を図りましょう。

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