決算書を拝見していると、最終利益がしっかり出ているにもかかわらず、あまり内容のよくない決算書に出会います。
それは、次の勘定科目の残高が多すぎることが原因の場合がありますのでご注意ください。
短期貸付金
小さな会社の場合、社長の生活費と会社のお金が区別されず、ごっちゃになっているということが往々にしてあります。
役員報酬で相殺できればいいのですが、生活費として引き出した金額の方が多いという場合、差額が短期貸付金として積み上がってしまいます。
役員報酬を引き上げることで徐々に返済できればいいのですが、源泉所得税や社会保険料もそれに応じて増加するため、業績によっては難しい場合があります。
融資を受けている銀行からは一番嫌がられる科目でもあります。
仮払金
本来は、既に現金が支払われているが、使途が確定しない場合に使います。
実際には使ってしまった経費である場合が多いので、すぐに精算すべきですが、決算までに領収書が出てこなかったり、個人的に使ってしまい精算できないといったケースもあります。
また、利益を確保するため、今期は経費処理せず仮払金に計上して繰り延べる、といったことをすることもありますが、もちろん、その期の費用はその期に計上すべきです。
決算書に仮払金が載っていると、ずさんな会社だという印象をもたれることがあります。
売掛金
実際に業績が上がって売掛金が増加するのはいいのですが、そうではない場合、例えば、不良債権の増加や入金遅延が増えたり、また、度が過ぎると粉飾ですが、「黒字を確保するため前倒しで売上を計上した」という場合に増加します。
総資本回転率が小さくなるので、要注意です。
棚卸資産
売上高が前年に比べて同程度か減少しているのに、棚卸資産が急激に増加している場合、「不良在庫が増加した」か、「利益確保のため棚卸資産を水増し計上した」ということが考えられます。
棚卸資産回転率が悪化しますので、注意しましょう。
開発費
新技術の採用のほか営業ルートの開拓などを市場の開拓として、関連諸経費をすべて開発費(繰延資産)に資産計上して利益を捻出している企業もあります。単に経費を繰延べたにすぎず、勘定あって銭足らずの原因のひとつです。

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