今年6月に成立した平成23年度税制改正において、現行の上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)の適用期限が、平成25年12月31日まで延長されました。
そこで、個人の方が上場株式等の配当等を受けた場合や売却した場合の金融・証券税制を確認しておきたいと思います。                      
配当等を受けた場合の課税関係
上場株式等の配当等については、その支払の際に10%の税率による源泉徴収がなされます。
確定申告は選択で、確定申告しないを選択した場合は、1回に支払を受ける配当等の額ごとに選択(申告不要)、源泉徴収口座内の配当等については、口座ごとに選択可能です。
また申告を選択した場合は、申告する上場株式等の配当等のすべてについて総合課税又は申告分離課税のいずれかを選択しなければなりません。
(1)総合課税を選択した場合
所得の多寡によって、所得税率が5~40%の累進税率、住民税は10%の適用です。
なお、配当控除の適用があります。
(2)申告分離課税を選択した場合
税率は配当所得の10%、上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能ですが、配当控除の適用はありません。
株式等を譲渡した場合の課税関係
株式等を売却した場合の所得金額に対する確定申告は、申告分離課税のみの適用となります。
しかし、特定口座で源泉徴収口座を開設していれば、その特定口座における上場株式等の売却による所得を申告不要とすることができます。
株式等に係る譲渡損益の通算は、上場、非上場を問いませんが、譲渡損失の3年間の繰越控除の対象となるのは上場株式等から生じた譲渡損失のみです。
また、上場株式等の譲渡損失は、上場株式等の配当等との損益通算が可能ですが、いずれも、原則、確定申告(申告分離課税)が必要です。
ただし、源泉徴収口座に上場株式等の配当等を受け入れることによって、口座内の上場株式等の売却により生じた譲渡損失と損益通算した金額を基に源泉徴収税額が計算されますので、申告不要とすることもできます。
なお、損益通算後も控除しきれない譲渡損失は、同様、確定申告をすることによって翌年以後3年間繰越控除ができます。

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