自署押印に係る罰則規定
法人税法には、納税申告書に代表者の自署押印を義務付けており、この規定に違反した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する、とされています。
納税申告が、納税者の財産権を侵害するもので、かつ、自らにとって不利益を生じさせる自己の租税債務を明らかにする行為であるところに自署押印の意義があります。
納税申告書の内容が納税者の真意に基づくものであることを明確にすることです。
電子申告では自署押印不要
それほど重視されていた自署押印が、電子申告ではあっさりと無視されています。
財務省の、税制改正解説書では、税理士が納税者から依頼を受けて作成して送信する税務書類については、「公共的使命を負った税理士が税理士業務として作成し、税理士の電子署名を付して送信するものであり、税理士により依頼者の本人確認等がなされていることから、依頼者の電子署名等まで求めなくとも問題ないと考えられるから」としています。
根拠法は何か、税法での根拠は
電子申告の根拠法は、税法ではなく、総務省管轄の行政手続電子化法です。
細目は、各省庁の定める省令(規則)に委ねられており、国税に関しては財務省の国税電子化省令が定めるところとなっています。
電子申告は、紙ベースのものを電子化することが趣旨だったのですが、それに止まらず、税法における申告等手続規定の実質的な改変をしています。
その結果、税法では、懲役刑を科されるようなことになっていても、電子申告に係る法律の中では適法となるような矛盾した状態になっています。
税法と電子化法との適用関係
法律と法律の間には、矛盾した規定が存在することがあります。
〇〇法の第〇条の規定に拘わらず、との前置きがあれば優先劣後の関係は明確ですが、それが不明なときは、一般法に対して特別法が優先して適用されます。
税法本法と租税特別措置法との関係と同じです。
国税諸法と行政手続電子化法の国税部分との関係も一般法と特別法の関係として理解することになります。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。