社会保障協定締結国への派遣
海外支社等へ勤務等の転勤で日本の健康保険や厚生年金に加入していて、日本と外国どちらにも社会保険料を支払うことになる「二重加入」の問題があります。
そこで保険料の掛け捨てにならぬよう日本と諸外国との間で社会保障協定が締結されています。
この社会保障協定は締結する相手国により内容は異なりますが、共通する年金制度事項の概要を説明します。
①二重加入の解消(適用調整)
日本の会社から海外支社に派遣(転勤等)される場合は、原則は両国の社会保険に加入となりますが社会保障協定国との間では派遣先国の社会保障制度のみに加入することを原則とし、派遣就労が一時的であれば派遣元国のみに加入します。
判断基準となる「一時的な派遣就労」とは派遣先国への派遣期間が5年を超えない見込みであることで、長期派遣により海外の派遣先国の社会保険に加入する場合には任意で日本の厚生年金保険や加入できる特別加入制度もあります。
②年金加入期間の通算
日本と協定国の各々の国で年金受給に必要な加入期間(受給資格期間)を確認する上で一方の国の加入期間では年金を受給できない場合には協定国での加入期間を通算します。
外国の方が日本の社会保険に加入して帰国後、脱退一時金を受けた場合は、期間は通算されません。
③各国との社会保障協定の内容
日本と各国との間の社会保障協定は平成28年3月現在、19か国で署名され、内15か国とは協定を発効しています。
スウェーデン、中国等4か国とは協定交渉が行われています。
協定相手国の社会保障制度等に応じて各国との協定内容は異なります。
原則協定を締結していない国への勤務は日本と勤務先の各々の社会保険制度に加入する必要があります。
④社会保障協定の手続
日本から協定相手国へ一時派遣される際に相手国の社会保険加入免除を受けるには年金事務所から交付される「適用証明書」を派遣先国の社会保険制度の実施機関に提出します。
長期派遣の場合は管轄の年金事務所に資格喪失届を提出します。

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