残業代を固定で支払う時
毎月の時間外労働時間から残業代の計算をするのではなく定額手当にしてコストを抑えたいと考えた時、残業手当の定額払いも1つの方法です。
ただし実際の時間外時間が設定した額より多いならば不足分は追加支払いをすることが前提になるので必ずしもコスト削減になるとは限りません。
定額残業代計算例
定額残業代は手当として設定する時と基本給に含む方法がありますが基本給の一部として含んだ場合の計算例をあげます。
月額30万円、月の労働日数は21日、月の残業時間は20時間とします。
1日8時間勤務×21日で月168時間の所定労働時間となります。
30万円÷168時間×1.25倍は約2,233円。
これが1時間の割増賃金です。
2,233円×20時間は44,660円これが残業代です。
30万円から引くと255,340円が基本給となります。
給与明細書も基本給255,340円と定額残業手当(名称は他でもよい)44,660円と記載しておきましょう。
定額残業代導入の注意点
判例では定額残業代については「定額である点で労基法第37条の趣旨にはそぐわないことは否定できないものの、直ちに無効と解すべきではなく通常の賃金部分と時間外・深夜割増賃金部分が明確に区別でき過不足が計算できるのであれば、使用者はその部分を支払えば足りる」としています。
つまり、残業代は基本給や手当に含まれていると言う口約束でなく、労働契約書、就業規則等にいくらで何時間分が含まれているのか、また、手当の時はそれが時間外手当とわかるように記載をすること、設定の残業時間を超えた時は差額を支払うこととしています。
給与総額を変えずに定額手当を導入したら
定額残業代設定時に給与総額を上げて対応できれば良いですが、それができれば苦労はしないでしょう。
今の給与額は据え置きのまま基本給と定額残業を分ける方法で導入した場合には、残業単価が下がるので不利益変更となり、社員の同意が必要になります。
定額にしたと言っても超過すれば差額を支払うことになるので、設定した残業時間内で仕事が回るように業務改善も目指したいものです。      

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