労災の原則は労働者が対象
法人の役員であっても常勤で勤務する者は健康保険や厚生年金保険の適用があります。
一方、労災や雇用保険は原則として対象外です。
労災保険でいえば「労働者の業務上の負傷、疾病、障害、死亡等の業務災害に関する保険給付」を行うことになっており、事業主や他の役員、事業主と同居の親族等は適用されません。
労災保険に加入していないならば健康保険を使えるのでしょうか。
健康保険は「業務外に起因する傷病」に対して療養の給付を行う制度ですから、原則使用できません。
業務上傷病であっても事業主や役員は労災の適用はないので実態に応じて対策をしておくことが必要です。
取締役で労災対象者の場合
代表権や業務執行権を有する役員は労災保険の対象者ではありません。
業務執行権とは株主総会、取締役会の決議を実行し、日常的な取締役会の委任事項を決定、執行する権限を言います。
しかし法人の取締役等であっても事実上、業務執行権を持つ者に指揮監督を受けている者は原則労働者として扱います。
また、取締役会規則により業務執行権を有すると認められている者は対象にはなりません。
また、監査役や監事は法令上では使用人を兼ねることはないのですが、事実上一般の労働者と同様に賃金を得て労働している場合は労働者として扱います。
これら兼務をしている取締役等は役員報酬の部分は労災の対象でなく労働者部分の賃金が対象となります。
法人5人未満事業所の代表者等労災の扱い
特例として、傷病が発生した当時に被保険者が5人未満の社会保険適用事業所の代表者等で一般の従業員と著しく異ならない労務に従事しているような場合は、業務上の傷病についても健康保険の給付対象とされています。
平成25年5月からは休業中の傷病手当金も給付される事になっています。
また、他に中小事業主等の労災特別加入をしていれば役員の労災適用を受けることができますが、その場合は5人未満事業所でも労災保険から給付を受けることになります。

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