衆議院での議論
衆議院のホームページにある質問主意書・答弁書の一覧表の中に、「所得税法の「寡婦控除」に関する質問主意書」というのがあります。
質問者は民主党議員で、「法律婚歴の有無で一人親世帯やその子どもに格差が生じるのは不合理、寡婦控除の適用を法律婚歴のない一人親にも拡大すべき」と主張しています。
現行寡婦控除の対象は
寡婦控除は、死別や離別など、過去に法律婚歴のある一人親を対象とし、法律婚歴のない場合は対象となりません。寡婦控除の対象外とされると、所得税・住民税の納税額が増え、さらに税額に応じて負担する保育料ほかの生活費が重くなります。
議論湧出の社会背景
婚外子(非嫡出子)に対する相続差別を違憲とする最高裁大法廷の全員一致決定を承けて、当該差別規定を削除する民法改正がなされたところですが、「法律婚主義の尊重よりも『法の下の平等』の実現を重視すべき」との国民世論の変化が背景にあります。
そういう時代の流れから、「婚姻届をしている男女間の子どもと、婚姻届をしていない男女間の子どもを平等に遇する必要は相続分の平等ということに限られない」として所得税法の寡婦控除が議論のテーマに浮上してきています。
対立的な争点ではない
寡婦控除の適用を法律婚歴のない一人親に拡大するため所得税法の改正を行うことについては、与党としてもすでに検討課題に取り上げており、平成25年12月12日の「平成26年度税制改正大綱」において、「寡婦控除については、家族のあり方にも関わる事柄であることや他の控除との関係にも留意しつつ、制度の趣旨も踏まえながら、所得税の諸控除のあり方の議論の中で検討を行う」と明記されています。
安倍晋三内閣総理大臣名での答弁書も公表されています。
政府の答弁書は、「与党における検討を踏まえて対応してまいりたい」としています。
地方自治体では先行しているところもある
寡婦控除の適用可否は、保育料や学童クラブ利用料のほか、国民健康保険料や公営住宅入居資格及びその賃料等の算定、幼稚園就園奨励費等補助金などにも関連しており、自治体によっては、寡婦(夫)控除のみなし適用をすでに実施しています。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。