離婚時財産分与での債権債務
離婚の際の財産分与では、分与を受ける側に財産分与請求権があり、他方に財産分与義務があると言われます。
分与者がモノで財産分与したとしたら、
(借)分与義務××/ (貸)分与財産××   
            / (貸)譲渡損益××
分与を受ける側の会計処理は、
(借)取得財産××/ (貸)分与請求権××
と、表現することができます。
それでは、配偶者の財産分与請求権と相手側の財産分与義務は、いつどのようにして発生してくるのでしょうか。
債権債務の発生過程
妻に財産分与請求権の発生があり、夫に財産分与義務の発生があったとして「その債権の発生の原因は役務の提供であり、債務の発生の原因は役務の受け入れである」と考えるのが順当です。
その役務とは、一般的には「内助の功」というものです。
妻には、内助の功という役務収益が、
(借) 未収債権××/ (貸)役務収益××
夫には、内助の功への支払費用が、
(借) 内助費用××/ (貸)未払債務××
なお、内助の功としての役務収益及び内助費用については、現行所得税法では課税対象外の収益費用です。
債権債務の蓄積の結果
債務の弁済が妻への生活費部分の資金源の提供額を超えて、多額の未払部分の発生となって普段に蓄積され、離婚のときに顕現して、財産分与請求権と財産分与義務とになる、ということでしょう。
ここでの役務収益には課税がないままその対価としての債権の発生が認められています。
それに対応するように、内助費用の対価としての債務の発生は認められるものの、費用として課税所得を減殺する効用は配偶者控除・配偶者特別控除にて少し考慮されるだけで、基本的には効用を発揮しないまま消滅しています。
隠れた非課税所得の対価の回収
離婚時に突然、財産分与請求権と財産分与義務が発生するのではないとしたら、上記のような発生過程があるはずです。
その上で、妻には経常的非課税所得があり、夫には無視される内助費用が形状的に発生している、というふうに考えれば、離婚時の税務関係は理解しやすくなります。

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