株式等の譲渡による所得は、申告分離課税、すなわち、給与所得、不動産所得、事業所得、一時所得等といったこれらの所得とは区分して株式等に係る譲渡所得等の金額を計算し税額を算出します。
そして、原則として、株式等に係る譲渡所得等の計算上生じた損失の金額(株式等内の譲渡益と譲渡損を通算してもなお残る損失)があるときは、当該損失の金額は生じなかったものとみなされています。
株式等には、国内の証券取引所に上場されている外国株式や、外国の金融商品市場において売買されている株式のほか、外国法人が発行する出資持分、新株予約権付社債、転換社債などが含まれます。
外国株式の譲渡損益
個人(居住者)が外国株式(上場、未上場を問わず)を国内で売却する場合でも、海外市場で売却する場合でも、売却したことによる所得で円に換算した所得金額は、国内株式と同様に「株式等に係る譲渡所得等」に分類され、「申告分離課税」の方法により所得税及び住民税の対象になります。
一方、外国株式の譲渡で多額の譲渡損が生じた場場合、当該譲渡損が未上場の株式に係るものである場合には、国内の未上場株式の譲渡損と同様、他の株式の譲渡益と通算されますが、通算後のなお当該株式に係る譲渡損が残る場合には、その損失は繰越すことができません。
譲渡損失の繰越控除
国内の上場株式等の譲渡損失については、無条件ではありませんが、他の株式との損益通算後もその損失については繰越すことができます。
そこで、外国の証券取引所で上場されている株式等を外国にある金融商品取引業者等に直接依頼して譲渡した場合の譲渡損について、繰越控除の適用ができるかどうか、気になるところです。
上場株式等の範囲には、外国金融商品市場において売買されている株式等も含まれていますが、「上場株式等の譲渡損の繰越控除が適用できる上場株式等の譲渡は、当該譲渡が日本国内で営業する金融商品取引業者等を通じてなされたものでなければならない」とされています。
したがって、外国上場株式等の譲渡損が繰越控除の適用対象となるためには、国内で営業する金融商品取引業者等を通じて売買をすることが不可欠です。
 

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