共有物分割は交換に近い
1つの土地を2人が共有で所有しているという関係は、それぞれがその共有土地の全部について、その有する共有持分に応じて権利を有するということになります。
したがって、甲と乙とが共有していた1つの土地をAとBの2つに分割し、
甲がA土地を、乙がB土地をそれぞれ単独で所有することとなった場合には、
甲はB土地の部分について有していた共有持分権を放棄する代償としてA土地を単独所有することになり、
乙はA土地の部分について有していた共有持分権を放棄する代償としてB土地を単独所有するということになって、
法律的な構成からすれば、いわば交換に近いことが行われたといえそうです。
交換とは見ない税法の立場
交換は譲渡の一形態です。
しかし、共有物の分割は譲渡に該当するかということになると、税法上はそういう見解をとっていません。
譲渡所得は、資産の値上り益が譲渡によって実現した時に一時の所得として課税の対象とされるものであることから
「2人の共有に係る1つの物がその持分に応じて2つに分割された」
ということだけでその資産に係る譲渡所得が実現したと考えることには無理があるからです。
共有に係る1つの物をその持分に応じて現物で分割した場合には、
「その物の全体に及んでいた所有権が単独所有することとなったその物の部分に集約された」
に過ぎないので、このような場合における共有物の分割は資産の譲渡にはならないと税法上取り扱われています。
譲渡がないものとされることの意味
交換はその特例の適用する旨の申告をして課税の繰延を受けられるのですが、共有物の分割の場合は、「譲渡がなかったものとする」という扱いなので、申告も不要です。
もちろん、交換特例のための要件である、1年以上の所有とか、直前用途と同一用途とか、という縛りもありません。
土地の分筆による共有分割の場合、分筆の登録免許税こそかかりますが、不動産取得税もかかりません。

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