現在、公募投資信託の数は、5000本以上もあり、一般にファンドともよばれています。
その多くは、契約型(運用会社と信託銀行が契約を結んで組成)で株式投資信託(約款に株式に投資できる旨記載されている投信)です。
投資信託の利益は2種類
投資信託には、インカムゲインとよばれる「分配」とキャピタルゲインとよばれる「売却益」の2つの利益があります。
前者は、分配金30円と書かれていれば、1万口ごとに30円ということになります。
後者は、株と同じように、値上がりによる売却益(値下がりによる売却損もある)です。
この売却益ですが、投資信託では、基準価額とよばれる数値が株の株価にあたるものです。
基準価額は、ファンド1万口あたりの価格です。
基準価額1万円のとき100万円でファンドを100万口買った後、基準価額が1万2000円になったときに全部売却したとすると、売却額は120万円となり、120万円-100万円で20万円の売却益、キャピタルゲインが生じたことになります。
公募公社債投信のゆくえ
現在、公募公社債投信の売却益は、原則非課税で、売却損はなかったものとされ、いずれの所得とも損益通算ができません。
しかし、来年からは、売却益は課税になり、一方、その売却損は、特定公社債等の配当等、利子、売却益、償還差益との損益通算、そして、上場株式等(上場投資信託「ETF」)、上場不動産投資信託「REIT」、上場投資証券「ETN」、公募株式投資信託等)の配当等、売却益との損益通算が可能となります。損益通算の結果、控除しきれない損失の額については確定申告により翌年以後3年間繰り越すことができます。
そこで、公募公社債投信の中に含み益をもったファンドがあれば、今年中に売却して売却益非課税を狙うか、一方、資源国、新興国向けのファンドの中に含み損を抱えているファンドがあれば、損出しは損益通算できる来年まで待つ、といった選択もあります。
難しい判断
ファンドの運用が好調で純資産残高も順調に推移し基準価額も上昇しているのであれば、何も今年中に売却することもありませんし、一方、ファンドの資金が流出し純資産残高が著しく減少しているのであれば、損失拡大回避のため早くファンドを処分した方がよい場合もあります。
 

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