匿名召喚状(John Doe Summons)
日本と異なり、アメリカには、裁判所の召喚状に基づいて行う税務調査(summons サモンズ)があります。
サモンズは第三者調査に有効な制度です。
対象が幅広く、スイスUBS銀行やHSBC(香港上海銀行)へのサモンズに象徴されるように海外に向けても発せられます。
これは、匿名召喚状(John Doe Summons)という調査対象者を特定するための手法で行われます。
タックスヘイブンの守秘義務を売りにしていたこれらの銀行商売に風穴を開けたので、世界的に話題になりました。
外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)
なお、アメリカは、海外金融機関からの情報の収集の仕方を来年1月から一段とエスカレートさせることにしています。
これは、外国のすべての金融機関に、米国人の口座情報を米当局に届け出るように求める外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)の施行です。
情報提供を拒むなら、米国の制裁を避けてドル決済をしなければならず、ドル建て取引が当たり前の国際環境の中では、それは事実上不可能に近いことになります。
FATCAへの日本の対応
日本の場合、個人情報保護法を遵守するとなると、口座名義人の同意なく米当局に情報開示ができないので、日本政府向けに個人情報を開示して、米当局には日米の租税条約に基づき政府が情報提供する仕組みにしました。
UBS事件の時、スイスの銀行と政府の採った手法です。
マネーロンダリングにも注意
アメリカは従来からマネーロンダリング(不正資金洗浄)には厳しい態度をとっており、最近では、「HSBCが、メキシコ、サウジアラビア、バングラデシュなどの現地法人から、不正疑惑巨額資金を米国に送金し、麻薬組織やテロリスト・ネットワークに便宜を供し、対イラン制裁を回避するイランへの送金隠しなどをしている」として、10億ドル超の制裁金を科す模様と報道されています。
米同時テロ以降、「ルールに従わなければ米金融市場から閉め出す」という姿勢は民主、共和両党ともに共通で、外銀の米業務における税務法務リスクは格段に高くなっています。

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