「役割・貢献給」はバブル経済崩壊後の1990年代に登場し、管理・専門職、企画職等知識労働者の増加や、年功評価から成果主義評価への賃金制度改革の動きとともに、21世紀に入って増加してきた賃金制度です。
「年功賃金に傾斜した職能給」や「職務の序列に基づいて賃金を決定する職務給」に代わり、また成果主義評価の体験からその良い点を生かし、欠点を修正して、日本の企業が新たに構築しつつある賃金制度であると言え、大企業での導入が急速に進んでいます。
そして、中小企業への導入も始まっています。
「役割・貢献給」の仕組み
「役割・貢献給」では、
管理・専門職・企画職等の知識労働者の成果志向的・創造的・自立的な業務遂行度合が、成果の大きさに結びつく業務実態に合わせて、同一役割等級内で役割遂行度・貢献実績に応じた高低差が大きい賃金表を適用します。
また、製造・サービス業務等の技能習熟が成果に結びつく業務は、技能習熟レベルに応じた積上げ型の賃金表を適用するのが一般的です。
「役割・期待貢献に基づく貢献実績に応じたメリハリのある賃金」を重視する一方、生活給としての月例賃金の安定性を考慮する賃金制度」を適用する例も多いと言えます。
賃金制度設計面で、「従業員の主体的な役割遂行・貢献意識・そのための能力向上意慾」を引き出すメッセージ性を重視し、
制度運用面では、成果主義賃金制度の問題点などを踏まえて、公正性・納得性を重視した様々な評価基準・評価方法が工夫されています。
日本経団連が2008年度に、企業の賃金制度改革の実態調査・研究に基づいて、「仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度の構築と運用に向けて」を発表し、賃金制度改革の方向性を示しています。
経営者へのお勧め
賃金制度の改定は一般に10年~20年に一度の大仕事になります。
会社の継続的発展を目指して、従業員のやる気と職務遂行能力を高め、業績を上げたいと考えている経営者の方々は、現状の賃金制度について、運用実態を調べ、「役割・貢献給」の事例などを研究して採用を検討してはいかがでしょうか。

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